作業倉庫っぽいネタができたぞー!!!つうかそもそも本来僕はミュージシャンのはずでは…?
今回持ち込まれたのは「ネックレス」
材質謎。もうこれを聞いた時点で不安しかありませんでしたねぇ…。
実物を預かりにいくと確かに謎。金属であるのはわかりますがメッキ?鋳物??なんぞこれ。
破損部分が多く、バラバラになってしまっています。
というわけで今回はネックレスの修理です(・∀・)
謎の素材でできているネックレスの修理
状況確認
個人的感想の第一声は「あ、これは無理」
いやいやいや、なんでこんなにスが入ってるの??
なんで金属が粘土みたいな仕上がりなの??
なんryと難しすぎます。
一応ヒアリングして「これ以上壊さなければどう直してもらってもかまわない」との事ですが無理があるよぉぅ!
まぁでも無理無理言っていても仕方ないですからね。とりあえず預かる事に。
一般的な金属であれば「ロウ付け」と呼ばれる熱を加えて溶接のように直す手法があるのですが、ぱっと見でこれは熱に耐えれない素材っぽい。
というかそもそも私は金工職人ではないので技術的に無理なのですが。
こういったリング部は接着剤で直したところで負荷が強い為、接着剤では無理。
無茶苦茶な方法で「ハンダ」接着なら何とかなる…??とも思いましたが地金が溶けないならそれも可能。
しかしそもそもこれ地金ごと溶けちゃわない…??
型を取って、破損部分を修理した状態で石こう型を作り、一から鋳造する方法もありますが、表面のスワロフスキーみたいなものを全部移植しなければいけません。
そこまでしたら手間よりも材料費だけでも高額になるので却下。
んんー、パテで新造する…?とも思いましたがパテにも種類があるし、固定!には強いのですが可動部への保持力に関してはさほど強くありません。
厚く大きくして強度を出せばそこも解決できるのですが、こういったアクセサリー類は大きくできないので詰み。
考えていてもしょうがないのでとりあえず
「バーナーの熱(1000度以上)には耐えられないのは確定として、低温度でも溶ける金属なのか確認」するのが優先と判断。
温度調整できる熱源があれば良いのですが、ちょうどいい物が無し。
とりあえずはんだごてで良いか。
実験に使う場所ですがもう復活の見込みがない「折れた部分」のカケラに熱を入れていきます。
・・・
おい!!もう溶けたじゃねえか!!
早えよ!!!
はんだごての熱量は約300度。手持ちのオーディオハンダ(低温で溶ける)などを溶かしながら何となくの融点を調べると…
このネックレス素材は大体250度程度で溶ける模様。
んー??ホワイトメタルなどの「すず」の合金か??または鉛…?でも白い感じするし??
溶かした感じだとメッキ加工もほぼされていない感じ…??
とりあえずこの時点で「熱を加える系」の修復は不可能。
正直はんだごてで直せたら一番楽だったんですけどね…
どうやって修理していくか
こうなってくると修理するとして方法が限られていきます。
パテで修復
ぐらいしか思いつかない。
裏面が少しぐらい汚くてもいい!と言われているので、裏面をカバーするようにパテで力を分散。
それで破損部をつな…げないだろうなぁ…。
リング部分が小さいんですよね。
ガッチガチに固めていいならそれも可能。しかしネックレスなのでそれは実際無理でしょう。
破損部分をとりあえず接着剤などで仮付けして、周りを薄ーくパテで覆ってギリギリリングを通るように…はできそうですが、まぁ強度が無理ですね。
先ほども言いましたが「大きくすれば」強度は出ますがそれでも擦れているうちにパキンと割れてしまうでしょう。
そもそもこのスズだかなんだかわからん材質にパテが食いつかない可能性も高いんですよね…
プライマーなどの食いつき剤使うのも手ですが、強度を出すために使うものではないですし、、、
という風にループ。
はい無理ぽ。
んー、、、とりあえず条件の整理をします。
- 破損部分を接着するのが無理
- 熱は加えられない
- パテでの修復は強度的に無理
- リング部分を新造すれば強度を保てる可能性あり
これなんだよなぁ…リング部分を…新…造??
とここでアイデア笑いの神が舞い降りてきました。
「いや、そもそもリングっぽい部分がしっかりしていればいいんだよね」
「ネックレス自体を修復するのではなく、リングを合体させればいいのでは??」
「金属製のCカンなどを接着できればいいんだよ!!!」
埋没法で修理していく
接着できれば…!までは良いのですが、金属同士の接着は難しいんですよね。
ここでハンダ等で接着できればいいのですが、無理。
なにか良い物が…とここで思いついたのが「歯科技工士」さん等の技術。
インプラントや型取り等かなり参考になる技術のオンパレードなんですよね。
というわけで歯医者さん等で使われる技術を参考にし、埋没法で進めていきます。
歯を修復する技術って凄いんですよねー。
顎の力の圧力がかかっている+口内の湿度・温度変化、かなり過酷な条件でも外れないパラジウム合金の接着など最先端技術の塊なんですよ。
- 本来の基部がある部分を彫り込む
- 充填剤+接着剤で接着
- 空白部分埋めるように光硬化樹脂などで覆い被せ力を分散。
これでかなりイケるのでは!?!?
とはいえ掘り込むのがシンプルな研磨技術なのでここがクッソ不安。
頑張るしかないんですけどね!!
修理していきます
完成!!
凄いやん!できたやん!!
なんだかんだ少し圧力かけても問題なし。
というより壊れていない部分が壊れそうなぐらいだから強度的には問題ないはず。
全く修理方法の思いつかなかったネックレスの修理ですが、無事完成!!
いやー、やってみるもんですね!!人間なんでもチャレンジチャレンジ。
正直もう一回やって!といわれたら「イヤッ!!」って言うぐらいに神経使いましたが…
修理費用を湯水のようにかけていいならもっと他の方法があったかもしれませんが、正直それなら新しい物を購入した方が早いですね。
とはいえ思い出の品かつ確かに他の業者さんなら触らないような案件だったから僕の所に来たわけですね。わかります。
それでも、しっかりまた大事にされるならこういった修理ってすっごく嬉しいんですよね。
でももう戻ってこないでね!正直限界のある修理だったよ!!
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